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県の東縁は九州山脈の峰々を結ぶ線で各県と接する。北から 涌蓋 （ わいた ） 山（一四九九・五メートル）・ 一目 （ ひとめ ） 山（一二八七・四メートル）・ 越敷 （ おしき ） 岳（一〇四三・二メートル）・ 小川 （ おがわ ） 岳（一五四二・一メートル）・ 向坂 （ むこうざか ） 山（一六八四・四メートル）・ 三方 （ みかた ） 山（一五七七・五メートル）・ 国見 （ くにみ ） 岳（一七三八・八メートル）・ 烏帽子 （ えぼし ） 岳（一六九一・七メートル）・ 銚子笠 （ ちようしかさ ） （一四八八・九メートル）・ 市房 （ いちふさ ） 山（一七二一・八メートル）の山々である。もっとも市房山から南・西の宮崎県境は山岳重畳とした地形で、尾根が県境をなしていないが、それでも高峰の付近が県境の目安になっている。県北では県境から二〇キロほどの幅で五〇〇―一五〇〇メートル級の山岳と高原台地が展開し、その西側に二〇〇―五〇〇メートル級の台地が広がり、さらに西は二〇〇メートル以下の沿岸平野へと連なる。県北の東部山岳地形は阿蘇山の活動により形成されたもので、北外輪山の北に小国盆地、東に 産山 （ うぶやま ） ・ 波野 （ なみの ） ・野尻高原、南外輪山に連続して 井無田 （ いむた ） ・ 大矢野原 （ おおやのはら ） ・ 吉無田 （ よしむた ） 高原が展開する。一方、阿蘇カルデラ内に一三〇〇―一五〇〇メートル級の中央火口丘群が突出して、北の阿蘇谷と南の 南郷 （ なんごう ） 谷の両盆地を二分する。阿蘇谷からは 黒 （ くろ ） 川、南郷谷から白川が流れ下り、合流して白川となり、 立野 （ たての ） 火口瀬から段丘面を西に流れ熊本平野に注ぐ。

阿蘇外輪山に源を発する菊池川は城北の穀倉地帯の諸支流を集め菊池平野・ 鹿本 （ かもと ） 平野を流れ 玉名 （ たまな ） 平野から有明海へ注ぐ。この流域は古墳文化が栄えた所で 江田船山 （ えたふなやま ） 古墳をはじめ数限りない古墳があり、全流域を風土記の丘とする構想がある。そのほか七世紀の 鞠智 （ くくち ） 城跡や古代の長者伝説、中世には菊池氏の活躍、近世の国衆一揆・菊池米・有明海干拓、近代では有明臨海工業地帯の展開など各時代における産業への対応がみられる。菊池・ 山鹿 （ やまが ） ・玉名には温泉が湧出し、観光地としても栄えた。